2009年1月8日木曜日

心を亡くすということ

先日、急いで出かける用事があって、流しのタクシーを捕まえて、飛び乗るなり「○○まで!」とつい早口で行く先を告げてしまいました。

実は私は4年前、下あごに大きな手術をしたため、滑舌が大変悪くなってしまい、上手に話すことができません。いつもなら、できるだけゆっくりはっきりと話すように心がけているのですが、そのときは忙しかったこともあって、ついそんなしゃべり方になってしまったのですね。

そして、車に乗って前の座席の背もたれを見ると、「聴覚障害のため、行く先はゆっくり大きな声でお願いします」と書かれておりました。

思わず、脳天からガツンと殴られたような気がいたしました。そして周囲を見ると、運転手さんの耳にはイヤホンがささっており、その先は天井から下げられた集音マイクに繋がっておりました。

いつもなら、どんなに急いでいても、何かしら運転手さんと話をするようにしているのですが、このときは降りるまで何も話すことができず、降車の際にお礼の言うのがやっとという状態でした。

よく言われるように、「忙しい」という字は「心を亡くす」と書きます。人として有る限りは、決して心を亡くさないように過ごしていきたいと、改めて心に誓った苦いできごとでした。

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