2011年8月28日日曜日

崩れ

作家幸田露伴の娘である幸田文氏が書かれた「崩れ」という本を読みました。

日本国内にある有数の土砂崩壊地を訪ね歩くという一風変わった随筆です。
先日読んだ畑村洋太郎氏の「未曾有と想定外」という新書に紹介されてのを縁に読んでみました。

日本には三大崩れという崩壊地があるようで、富士山の大沢崩れ、立山の鳶山崩れは私も知っていましたが、安倍川の大谷崩れは、今回初めて知りました。

地図や航空写真でみるとものすごい規模で、私の想像を絶する光景があります。
確かにこの風景を目の当たりにすると、身がすくみ恐ろしくなってしまうでしょう。

日本の川は短い距離で一気に高所から海へ注ぐため、非常に急流であり、何処もこの河川の水を如何に治めるかと言うことが、いつの時代にも治世者の課題でした。京都でも同様で、彼の後白河法皇が思い通りにならないものとして「鴨川の水」を挙げたことはよく知られています。

今からおよそ20年前私も砂防の仕事に短期間だけ携わったことがあります。

その当時の先輩に、全国にある「龍伝説」「大蛇伝説」の殆どは、土石流災害を後世に伝えたものであると教えられました。土石流が通った跡は、小石が転々と残されて、まるで龍や大蛇が通った跡のように見えたからだそうです。

土石流にしても津波や洪水にしても、襲われやすいところは決まっています。
その記憶を如何に世代を越えて後世に伝えていけるかということが生死の境を分けます。

今年の3月の震災でも、その知恵が幾人もの命を救いました。

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