2012年2月22日水曜日

おーい でてこーい

今朝の朝日新聞、天声人語から。

最近の朝日新聞は無料で見られる期間が短いので、大変申し訳ないのですが、そのままここに引用させていただきます。

泳いで来るわけがない。都心の代々木公園で、サメの死骸が見つかった。近くの回転ずしからもらい受けた人が放置したそうだ。一般に、粗大ゴミが捨てられるのは空き地や公園、海山など、広々とした場所が多い。極みは宇宙である▼天空では、用済みの人工衛星やロケットの破片が、好き勝手に回っている。ソフトボールより大きいものだけで2万個。この宇宙ゴミを集め、大気圏に運んで燃やす「お掃除衛星」の計画がある▼宇宙ゴミの速さは弾丸をはるかに超え、飛行士らを悩ませる。3年前には米国とロシアの無人衛星が衝突し、無数のゴミに砕け散る事故も起きた。大きな物は大気圏で燃え尽きず、降ってくるから始末が悪い▼星新一の「おーい でてこーい」を思い出す。突如現れた底なしの穴。人々はこれ幸いと、原子炉のカスや機密書類、死体など都合の悪い物を捨てていく。やがて空から……。名作に教えられるまでもなく、青き惑星をゴミでまぶしては罰が当たる▼家庭ゴミは出し手が責任を負う時代になり、大物の回収は有料だ。宇宙ゴミも打ち上げた国々が面倒を見るべきで、とりあえずの掃除当番は米ロで決まりだろう。両国は地上でも、核兵器という有害ゴミをため込んできた▼人工物が密集するのは高度2千キロまでだから、地球の直径の6分の1ほどの空間だ。いわば玄関先をゴミが高速で飛び交っていては、いずれ出入りにも差し支えよう。宇宙といっても空の続き。「包容力」に甘えると後が怖い。


思えばおそらく、天声人語氏も我々と同世代の方になってしまったのでしょうか。
 星新一の「おーい でてこーい」は想像すると背筋が寒くなるほどの名作です。
 自力では処分しきれない大量の“ゴミ”を作り出してしまった我々をあざ笑うかのようです。

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