2009年7月21日火曜日

皆既日食

明日7月22日には、国内では46年振りとなる皆既日食が観測されるということで、その中心地である奄美地方の島嶼に世界各地から多数の人が訪れ、世紀の天体ショウの幕開けを待っている。

原理的には、日食は、毎年2回は必ず起きているそうであるが、地上から観測できるとなると、そのチャンスは限られている。次ぎに日本で見られる皆既日食は2035年だそうなので、次回見ることができる人は、かなり限られているであろう。

とはいえ、実は私は今から10年前の1999年8月にあった皆既日食を見るチャンスに恵まれている。

当時、私はドイツにいた頃で、ドイツの南部からオランダにかけて、非常に広い地域で観測することができた。
丁度夏休みと言うこともあって、家族を連れてAuto-Zugという自家用車を載せることができる夜行列車でミュンヘンまで出かけた。皆既日食はミュンヘンでも見られるのだが、到着時は曇天でもあったので、そこから更に車を走らせて、皆既日食帯の中心地であるアウグスブルクまで足を伸ばした。

市役所前には、すでに広場を埋め尽くすほどの群衆が集まり、地元の楽団が様々な音楽を演奏する中、日食眼鏡を片手に時間が来るのを今か今かと待っていた。

話には聞いていたものの、初めて体験した皆既日食は、非常に神秘的でした。

太陽が徐々に欠け始め、もうすべてが隠れると思った瞬間、一瞬世界の音が止まり(そんな気がしました)、鳥たちが急に大声を上げだしたかと思うと、ゴゥという地鳴りのような音とともに強い風が吹き荒れました。

完全な暗闇が続いたのは数十秒だったでしょうか。次の瞬間、私たちの目に飛び込んできたのは、とても美しいダイヤモンドリング。一瞬の輝き。本当に一瞬でした。

時間の経過と共に、辺りは何ごともなかったように普段の日常の風景に戻っていました。

何の予備知識もない古代の人々にとっては、まさに神がお隠れになったと思ってしまうのも宜なるかなと思われます。

おそらく、二度と見ることはないだろうと思いながら体験した、神秘的な思い出です。

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