2008年11月9日日曜日

11月9日

今日は11月9日。ドイツでは2つの大きな出来事があった日として記憶されている。

一つは東西ドイツが統一に向けて第一歩を踏み出した日、
ベルリンの壁が実質的に崩壊した日である。
当時の記録などを見ると、それはかなり突然の出来事であったらしく、
一説には当事者の些細なミスが発展してしまい取り返しがつかなくなったもの
などという噂がまことしやかにささやかれたものである。

10年前に私がベルリンで働いていた頃のオフィスは、
元壁を東側にほんの少し入ったところにあって、
毎日そのボーダーラインを越えて通勤していた。
あの頃の思い出については、また書いていきたいと思う。

もう一つの出来事は「水晶の夜」と呼ばれる、おぞましい出来事である。
第2次世界大戦の始まる直前、ドイツでユダヤ人の大迫害がおこったが、
その象徴的な出来事として語られている。

ユダヤ教の教会をシナゴーグいい、当時のドイツにも多くのシナゴーグがあった。
それらが一斉に焼き討ちにあったのが、この水晶の夜事件である。
名前は美しいが、町のあちこちでシナゴーグが焼かれ、
そこから燃え上がる炎を水晶の美しさにたとえたものである。

現在、ドイツの統一記念日は10月3日となっているが、
これは、壁崩壊の翌年、東ドイツが西ドイツに吸収される形で
形式的にもひとつの国になった日をとったものである。

本来ならば、実質的に一国になった11月9日を統一の記念日に
しようという動きもあったようであるが、それ以前の暗い記憶が
それを思いとどまらせたと聞いている。

11月9日。この日のベルリンは祝うでもなく悼むでもなく
複雑な空気が流れていたような記憶がある。

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