2008年8月21日木曜日

本当の国際競争力とは

今日読んだ新聞によると、2007年に4日間以上の休業を伴う労働災害に遭われた派遣労働者が5885名にも及んだそうである(うち死者が36名!)。
これは、製造業への労働者派遣が合法化される前の2004年の667名の何と9倍!
労働災害の発生件数がこの3年間でほとんど変化していないこと、派遣労働者全体の人数も1.5倍しか増えていないことをを考えると、どう考えても異常な数字としか考えられない。

戦後の日本経済は様々な規制を設けることで、外資の参入を妨害し、まれに見る発展を遂げてきた。
しかしながら、行きすぎた経済成長を喜ばない外資の圧力に負け、従来の様々な規制を緩和・撤廃することを新たな国是とし、一気にこの国の舵を切ってしまった。

もともと真っ当な経済活動というのは、対等な立場に立つ者同士の間でしか成り立たない、というのが私の考え方である。一方が他方に対して、絶対手的に有利・不利な立場に立っている場合には、正常な取引は期待できない。そういう状態にあるときには、仲裁役として公の出動の機会が発生する。

雇用者と被雇用者との関係は当にこの関係に当たる。労働団体の組織率も驚くほど低下し、本来の権利を主張できる力を削がれてしまった労働者の立場を守るべき公が、逆の方向で規制を緩和しようとしていることは、万死に値するとしかいえない。

一方で、国内の中小企業にとっては、低賃金で雇うことのできる、外国人労働者や日雇い派遣労働者が頼みの綱であるという厳しい現実もある。
しかしながら、この場合の問題は、中小企業者と労働者の間ではなく、中小企業と大企業との特別な取引関係にあると考えるべきである。

政府は、競争力の強化を錦の御旗に、(勝ち組)大企業の優遇策をどんどん推し進めてきた。しかしながら、今本当に必要なのは、中小企業と労働者の競争力の強化である。これらが回復することなしに、日本の国際競争力の回復はあり得ない。

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